政治

加藤紘一氏の訃報に思うこと

ご冥福をお祈りいたします。良くも悪くも私が政治に関心を持つきっかけをくれた方でした。氏が一時期辞職していた頃、ニューヨークの留学先に半年近く滞在しておられました。授業を聴き、飲みに行き、ご自宅に行き、日本そばまで振る舞っていただきました。…

クロスロード

学会でスロヴェニアの首都リュブリャーナに行ってきた。日本における統合報告と投資家のスチュワードシップ・コード導入に関するプレゼンをしてきた。途中、イスタンブールとサラエボ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)に、学会後にザグレブ(クロアチア)に行っ…

連合経済の難点

この記事を読んでの雑感。欧州、シェールガス商用生産 ポーランドで年内めど 2014/7/14 日本経済新聞 欧州、シェールガス商用生産 ポーランドで年内めど :日本経済新聞 まっさきに思い出したのは、福島原発事故後にドイツが表明した脱原発に伴う、電力コスト…

一貫性なき政策・意識

以下の記事、突っ込んでくださいと言っているようなものだ。女性リーダー集めた世界会議創設 首相が単独会見 人口減抑制へ地方戦略、年明けに策定 日経新聞 2014/7/8 女性リーダー集めた世界会議創設 首相が単独会見 :日本経済新聞 記事前半: 首相は「歴史…

態度豹変

昨年末に安倍首相が靖国神社に参拝した際、韓国や中国からの批判に対して安倍首相は「話せばわかってもらえる」との発言を残した。一報でケネディ大使の遺憾表明に対しては、玉虫色の態度をとっていた。今回、靖国神社の例大祭にあたり首相はお供え物だけし…

「介護・家事にも外国人労働者」

昨日の記事「介護・家事にも外国人材活用、国家戦略特区で先行実施も=政府会議」(ロイター 4日) 介護・家事にも外国人材活用、国家戦略特区で先行実施も=政府会議 - ロイターこのブログでも再三書いてきたが(たとえば外国人労働者と社会 - Econ少年漂流…

経常収支を理由に再稼働という理屈

経常収支の黒字を維持すること自体が政策の大目標になってはならない。なぜなら、それは国境をまたぐ非金融取引の出入りの数字の差し引きであり、ミクロ面では内需の強弱と外需の強弱が複雑に起因するし、マクロ面では貯蓄投資のバランスを反映するからであ…

エコカー減税、18年超税率

車を持っている人なら、重量税の高さには毎年イヤになっていることだろうと思います。日本では、環境対応車は重量税が減免される仕組みになっていますね。これ自体は理にかなったいいことだろうと思います。「今の時点で」燃料効率の悪い車を購入すれば環境…

大学中退を政府が阻止するべきなのか

というタイトルだから、もちろん阻止するべきではないというのが私の意見。基本は。大学中退:文科省が全国調査へ 年6万人以上、防止策検討 毎日新聞 2014年01月31日 http://mainichi.jp/select/news/20140131k0000m040143000c.html「基本は」というのは、例…

損益計算書は一方通行?(法人税減税と賃上げの議論)

ちょっと前の記事だが、今でも議論していること:法人税を減税して賃上げを求める珍妙な税制改正(ニューズウィーク日本版、2013年09月24日(火)): 法人税を減税して賃上げを求める珍妙な税制改正 | 池田信夫 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシ…

賃上げして物価が上昇するの?

賃上げを要請して、企業がほんとうに賞与アップかベースアップしても、日本全体の給与所得が増えるとは限らないよ。雇用数が一定なら、という条件つきでしょ。単価を上げることは、企業にとって雇い止めやレイオフの誘因となってしまうでしょ。雇用は企業の…

ネット右翼と歪曲された性的征服欲

インターネットがなかった時代から潜在的にくすぶっていた問題かというと、たぶんそうではないのではないかと思います。こういう分子がいたことには間違いないでしょうが、この分子がインターネットを利用して無思考層に拡散させた結果、一気に拡大されたの…

外国人労働者と社会

数年前から、フィリピンやインドネシアなど特定の国々から看護師に限ってトレーニングも含めて有期就労ヴィザを発行するようになったが、私が知る限りではこの政策はいまだにうまくいっていなく、世の中の看護師不足は一向に改善されていそうにない。いかに…

安倍晋三首相による靖国参拝について

昨日午前、ついにやってしまったようだ。中韓はもちろん、米国までもが大使の公式声明として"disappointed"だと表明している。幕末に薩長が中心となって無理矢理天皇を神格化させたくせに、天皇に実質的権力も責任も与えなかった「無責任の構造」(丸山真男…

18年ぶりのポーランド大使館

ある種自分のルーツでもあるポーランドの世界に、久しぶりに触れてきた。 今年で9回目になるというフォーラム・ポーランド会議に参加しまして、テーマが社会科学系だったこともあり恩師である関口時正先生からご案内いただきました。私が学生だった当時と比…

対中とか対韓とかに見られる集団心理と企業

最近の中国による防空識別圏の設定は明らかに由々しき問題で、国家の主権や国民の安全を脅かすことだから明確にNOというべき話ではある。しかしここで言いたいのは中国の行動そのものではない。日本社会のこの全体的な「振れ」には、やっぱり違和感を感じ…

リーダーのaccountability

って、こういうことだと思うのです。FULL TRANSCRIPT: President Obama’s Sept. 10 speech on Syria - The Washington Postその中身や彼の今後の政治的立場などはさておき、国民に対して説明責任を果たすというのはこういうことではないでしょうか。これは「…

「東京」に思うこと

東京に生まれ、東京で育ったからこそ、今や傍から東京を見るようになって思うことがたくさんある。あの人間の渦の中で違和感なく育ったから、新宿・池袋・渋谷の雑踏、ギューギュー詰めの地下鉄、環七の交通事故、歌舞伎町のポン引きや、世界一モノが揃う買…

人権と倫理とか哲学とか

このところ時差ボケもあって家族に邪魔されない深夜に本を読める。そんな中で2冊の本といい出会いをした。こちらは1993年にオックスフォード大学で行われたOxford Amnesty Lecturesを編纂したもので、中にはロールズやローティなど現代の著名哲学者たちが当…

Swing voters

昨日の参院選の結果、日本中の選挙区で「自民・新人」の当確情報がひっきりなしに流れ続けた。昨年12月の衆院選の時もそうだったし、2009年8月の総選挙では「民主・新人」だらけ、2005年の郵政選挙の時はまた「自民・新人」だらけだったのでしょう。人を見ず…

クールジャパン推進機構法

だからクールじゃないって言ってんじゃん。記事: http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/jikenbo_detail/?id=20130716-00031120-r25&c=04 プロモーション・ビデオ: 自分で自分をクールだと言えばその時点でクールではなくなるんだよ。北朝鮮のリーダーがその権威…

いじめ防止対策推進法

いじめを上から抑え込もうとすればするほど、いじめは潜在化し、陰湿化してゆく。大津市長「心強い」 いじめ防止対策推進法が成立(2013年6月22日朝日新聞)このことでいじめが本当に減るのか、見ものである。数年後、なんらかの統計を持ち出して「はい減り…

クール・ジャパン推進機構??

NHKニュースによれば、政府がクール・ジャパン推進機構たるものを設立するらしい。その目的は、「日本のアニメやファッション、それに日本食・・・分野の事業を海外に展開する企業を資金面で支援する」ためなのだそうだ。クールの定義は? 極めて主観的だ…

米中首脳会談とその報道に思うこと

各新聞などでは、まずは尖閣問題などでの対立点をトップに持ってきて、北朝鮮の核開発問題については協調姿勢を示していることなどを列挙している。たぶん、今回の首脳会談で何が語られたかについては二次的な重要度であって、一番重要なことは8時間にも及…

The same old rhetoric

米次期通商代表、日本の自動車市場開放に意欲(2013年6月7日、日経新聞)為替の変動は、資金供給の結果で、それが目的ではないですね。日本の自動車市場はとっくのとっくに解放されています。関税は低いし、非関税障壁なるものは人間同士の信用とかに関わる…

戸籍という制度

欧米の多くは、教会がこの制度を補完してきたようですが、日本・韓国・台湾については、国の制度としてこの仕組みがある(あった)ようです。また、同じ出所によると、ドイツやスイスには家族単位での登録が、スウェーデンやオランダには個人単位での登録制…

マルクスの亡霊

「民主主義」の解釈は多様である。米国が民主主義教育を強調し、かたや北朝鮮だって国名に民主主義を標榜している。今日ジュンク堂の近刊コーナーでなんとなく衝動買いしてしまった。叛逆 マルチチュードの民主主義宣言 (NHKブックス)作者: アントニオ・ネグ…

日米経済摩擦沈静化についての集団間社会心理学的一考察

元あほあほサラリーマン・・・ ☟ ひょんなご縁から大学教員に関心を持ってしまった ☟ やばい、研究しなくちゃ。誰もやらないことをしなくちゃ・・・ ☟ 日米中政治経済研究会?? 日米経済摩擦のことなんて五万と本が出てるし、何を書きゃいいんだよ・・・ ☟ …

なぜ私は学生の目線でいるのか

フルタイムで大学教員になってまだ3年ちょっとの私なりのアプローチであります。大学教員の大多数が私みたいになってしまっては良くないことでしょうが、そうは絶対にならないでしょう。なぜなら大学教員たちも皆、バラバラの主観でものを見ているからです…

アベノミクスについての対論、産業と労働

2000年過ぎ頃からスティグリッツ先生が繰り返し言ってきたことと整合性は取れていて、無責任な感じはしません。が、ここまで言い切れるほど私自身はいわゆるアベノミクスに確信はないのです。Project Syndicate The Promise of Abenomics by Joseph Stiglitz…