大学中退を政府が阻止するべきなのか

というタイトルだから、もちろん阻止するべきではないというのが私の意見。基本は。

大学中退:文科省が全国調査へ 年6万人以上、防止策検討
毎日新聞 2014年01月31日
http://mainichi.jp/select/news/20140131k0000m040143000c.html

「基本は」というのは、例外があると思うから。学生に非がない場合でしょう。金銭的理由であったり、受け入れる大学の教職員側の問題だったりするケースだ。

「中退するから非正規雇用」という因果関係は、残念ながらあるとは思う。いわゆる大卒の正規雇用ルートが絶たれるというのは、既存の今の日本のシステムではたいへんだろう。そもそもこのシステム自体、日本国内の人材を固定化させ、労働市場を硬直化させる。市場の機能を利用して適材適所、つまりは全体最適に近い状態、にしない仕組みだ。もちろん企業もそんなことはわかっている。

問題はそこではない。仮に政府が関与して大学中退が減っても、そのことで非正規雇用が減るという因果関係はないはずである。非正規雇用増加の社会的現象は、労働供給側の「質」の問題ではなく、需要側、つまり企業側の都合である。

近年、大学生が幼稚化していると指摘されているが、それは全世代に言えることだ。大学の教職員による余計な(と思われる)介入が必要だったり、介入を求められたりするケースが多い。
しかし、学問的なノウハウの提供を除いて、教育のもう一つの目的は学生に自立してもらうことだ。教職員や政府による介入は、学生を自立させない。大学生をもっと自立した人間として扱うべきだ。