発想法のいい本が出たと思う

この手の発想法とかの書籍は世に出すぎていてあまりにも玉石混交で、書店でもほぼ手に取ることすらなくなった。

そんな中、ゴールデンウィークに久々に家族で書店に行き、多少は時間的にゆとりをもって物色できた中で目に留まったのがこの本だった。著者がブログで知られている人であることを私は知らなかったが、中身からこの著者の思考と知識の泉は信頼できると思った。まとめ方も見せ方もわかりやすいし、何たっておもしろい。

よく日本の教育(特に受験勉強)は知識の詰め込みだから無用だという批判を聞く。この批判の多くが、海外にかぶれた人たちや、外国人だったりする。で、こういう人たちが妙にアイデアとか、イノベーションとか、バリューとか、ダイバーシティーとかいうバズワードを使いたがる。

しかし、知識は絶対的に重要であり、これなしにアイデアなんて生まれるわけがない。そして知識を得るためには、知識の連関を理解する必要がある。知識の連関・つながりからこそ、アイデアは生まれる。問題は、このことを学ぶ側に理解させてあげられていないことだ。教員の素養とは、詰まるところ哲学的な思考力とその説明力なんだろうと思う。

私自身7年前に教員に転身して、なかなか一丁前に論文を書けていない。つまり、自分の経験や知識を一般化させて世の中のために少しでも価値あるアイデアに仕立て上げられていない(なかなか時間がないというのが本音だけど・・・)。それだけに、こういう思考の枠組みや連関の手ほどきを指南してくれて、読み手の知的営為を促してくれるのはありがたい。