米中首脳会談とその報道に思うこと

各新聞などでは、まずは尖閣問題などでの対立点をトップに持ってきて、北朝鮮の核開発問題については協調姿勢を示していることなどを列挙している。

たぶん、今回の首脳会談で何が語られたかについては二次的な重要度であって、一番重要なことは8時間にも及んでノーネクタイで語っている点だ。かつてレーガンが来日した際、当時の中曽根首相が日の出山荘に招待し、泊まりがけで会談をしたことがあった。当時は日米関係こそが世界で一番重要な二国間関係だ、というアピールをしていたし、それができた。今の世界で一番重要な二国間関係はもちろん米中関係だろう。日本の首相が、それが宇宙人でも菅直人でもドジョウでも安倍さんでも、こんなに長い時間を割いてくれるはずがない。

米中に意見対立があることに安心したり、協調姿勢に嫉妬したりしていても仕方がない。日本の国力の低下はもう避けられない事実だとしても、それでも我々は文明を絶やさないよう、結局は一生懸命に働き学ぶことだ。それは歴史上の数多の文明の興亡を学べば、特に日本のような資源のない島国にとって他に選択の余地はない。眠っていたら食い逸れる。

文明が衰亡するとき (新潮選書)

文明が衰亡するとき (新潮選書)

学ぶ、というのは、自他の行いから学ぶべきということだ。過去の文明のこともそうだし、自分の行いが他にどう波及するかについても学ぶことだ。