連合経済の難点

この記事を読んでの雑感。

欧州、シェールガス商用生産 ポーランドで年内めど
2014/7/14 日本経済新聞
欧州、シェールガス商用生産 ポーランドで年内めど :日本経済新聞


まっさきに思い出したのは、福島原発事故後にドイツが表明した脱原発に伴う、電力コスト高と産業の周辺国シフトのことだ。

電力コスト高による国内の産業空洞化を懸念するつもりはない。それはドイツ自身が選択したことだから。

気になるのは、原発を推進して電力コストが相対的に安い周辺国、特にチェコなどにシフトしている点だ。ドイツ政府は、起こり得る原発事故を懸念して脱原発に踏み切ったわけで、見方によっては周辺国がそのリスクを請け負っているとも言えなくない。功利主義者なら、その対価として産業の流入があると言う。チェコとしては直接投資を受け入れるのだからありがたい、ということになる。しかし、ドイツが恐れるように、チェコだって原発のリスクを恐れてはいる。それでも、経済的対価と天秤にかけて、原発を選ぶ。

今回の記事のシェールガスに関して最も懸念されているのは地下水の汚染などの環境問題であり、これが理由でドイツとフランスがシェール開発を禁止している。これも同じく、独仏による選択である。
一方で、近隣のポーランドデンマークなどがシェールガスの商用生産をすることになっている。しかし、共同体の中で欧州のシェールガスの最大消費地はドイツとフランスである。

ポーランドデンマークルーマニアなどは、環境汚染の対価として経済的利益を優先させた。結果的に、独仏が環境汚染のリスクを他に負わせている構図とも言える。

欧州の政治経済が専門ではないので詳細はわからないが、連合内で国家間の経済的・政治的な取引があって今のエネルギーの構図があるのだろうと想像する。しかし、この構図は原発立地が福島・青森・新潟・福井などの地域に政治的に決まってゆくのと変わりがない。長期的に禍根を残すかもしれない。