he said she said battle

愛国心自体が悪いわけではなく、その表し方の違いによって国民の成熟度が見えてくるのだろうと思います。放火・投石・略奪行為を許すことは、テロを許すことと何ら変わらなく、あってはならないことです。日本でも神戸の中国人学校に放火するなど、程度の差こそあれ、同等の恥ずべき行為です。

お互いの主張をいくらしたところで、火に油を注ぐのが領土問題でしょう。

例えば日中関係を想定してみます。それぞれにとって好都合な順番は、
1.自国が積極的に出て、相手国が譲歩した場合
2.両者そろって譲歩した場合
3.両者そろって積極的に出た場合
4.自国が譲歩して、相手国が積極的に出た場合

ということになりますね。図の数字は適当です。
1.の利益が高いのは当たり前ですが、そんなことありっこない。略奪行為です。
2.については、普段はとりあえずこういう状態が続いていたはず。
でも中国と日本(ついでに韓国、ロシアも)で政治的ポピュリズムによる愛国扇動が起きているから、3.のような事態になる。今はこれ。
4.は、ありっこない。というよりも、あってはならない。


   
つまり、両国の選択肢は、基本的には常に均衡することになります。平時は左上で、政治的に脆弱になって外交手段に効果がなくなってくると、今のように右下のようになってしまいます。
両国の利益の数値を「+5」とは書いたものの、これがいつまでもプラスとは限りません。政治ポピュリズムで国内的には支持率が上がるかもしれません。しかし実際に戦闘でも始まれば、プラスのはずがない。ここの数字は流動的で、右下に行けば行くほど数字が下がってくるでしょう。今やとっくにマイナスの領域にあると思います。

だからどこかで外交努力が必要になります。

日本側は、特に鳩山元首相の"Trust me!"以降、その外交能力の弱さが目立ちます。そこに近隣諸国がつけ込んできていることは間違いなさそうです。
中国側は、今年がまさにリーダーの移行期で、バブルも弾けて社会的にも不穏な要素があります。また情報化のために一党独裁が危うく、天安門事件の二の舞をさけるために、デリケートなデモ運営が必要となります。「運営」というのは、私の大学院の中国人の先輩が、実際に2005年の一連の反日暴動を政府筋から依頼を受けてPRを行っていたので、今回だけが自然発生だとはとても思えないからです。

2012年は世界中で国家元首の選挙・交代があり、さらに欧州危機も重なりました。経済問題を解決するのが難しくても、せめて人間の知恵と勇気で対話することで少しでも状況を改善できるのであれば、そうすればいいはずです。

早く2012年が終わってほしいですね。