死生

2010年3月の帰国以来、2年半で親類が6人他界した。何度も亡き骸を見て、触れ、骨を拾った。

人の死に接すると、残された人たちの生が逆に意識される。故人を偲ぶ人とか、恨めしく思う人とか、葬式で騒いでしまう子供の姿とか、相続のことで頭がいっぱいでしかめっ面の人とか、葬式中にスマホを操作している人とか、流れ作業で卒なく仕事をする葬儀屋さんとか。

当然、偶然生まれてしまった自分のことも思い返す。故人の目から見た自分は、どう映っているのだろう。あるいは、故人となった今、この世がどんな風に見えているのだろう。つい故人を仮構して想像してみたくなる。

せっかく残された生なのに、些末なことに気をとらわれすぎることが、滑稽に見えたりするのだろうか。あるいは、死を知らないなんてかわいそうに、と思うのかしらん。