ショパン全書簡

学生時代の私は大バカで、書簡を読んだりポーランドの民族舞踊や文学を学んだりして、そのうえで徹底してピアノのトレーニングを積めば、他人とは違う解釈でショパンが弾けるものと本気で信じていた。もちろん、そのいずれについてもロクに努力をせず、女にうつつを抜かしていた。私には、今の無気力な学生を批判する資格はない。

2回目の大学2年生の時、関口先生がたった2〜3人の音楽史好き学生のために開講してくださった「ショパンの書簡を読む」のゼミに、ラグビーの練習を理由に履修できません、とアホなことを言ってしまった。「君には師弟関係を裏切られた!」とまで言われて早や18年。

卒論の題目選定の際、ショパンの書簡集を扱いたい旨関口先生に申し出た私。「バカ言うな」と一蹴。あれから16年。

この春、少し頭が薄くなり白髪になった教授にお会いして、このライフワークのお話を伺った。そこに自分が関われていない一抹の淋しさを感じつつ、自分なんかの力量ではお邪魔なだけだったと改めて納得がいった。その仕事は、ポーランド語の古文の理解だけでなく、音楽、歴史、文学、政治、民俗など、極めて広い分野での理解が前提となる。つい、自分が今書いている些末な論文の稚拙さに愕然としてしまう。

まずは第一巻、定価18,900円。昨日の日経の書評にも出ていた。たいへん感慨深い。

ショパン全書簡 - 岩波書店

ショパン全書簡 1816?1831年――ポーランド時代

ショパン全書簡 1816?1831年――ポーランド時代

  • 作者: ゾフィア・ヘルマン,ズビグニェフ・スコヴロン,ハンナ・ヴルブレフスカ=ストラウス,関口時正,重川真紀,平岩理恵,西田諭子
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2012/03/30
  • メディア: 単行本
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